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地域ブランド【大館曲げわっぱ】150年後への夢。壮大な計画がスタート!

2018-07-11

「インスタ映え」が流行語になって以来、見た目のキレイなもの、人目を引くものに関心が集まるようになりました。

そんな中で今、注目を集めているのが「大館曲げわっぱ」です。曲げわっぱのお弁当箱に入れると、簡単な食材でも見た目が映える上、木の調湿機能で美味しさもキープするという優れもの♪

木工品と言えば通常は四角く組み立てるイメージがありますが、曲げわっぱは、薄く製材した板をその名の通り「曲げ」て器の形にしています。

お弁当箱のほか湯呑みやおひつ、お重など、さまざまな形の器が作られています。

全国にはヒノキやサワラなどさまざまな種類の木を用いた「曲げもの」がありますが、大館曲げわっぱは秋田杉を使っているのが特徴です。

大館曲げわっぱは、昭和55年に「伝統的工芸品」の指定を受けました。

伝統的工芸品とは、「100年以上の歴史があり、伝統的な技術・技法・材料を用いて製造されている工芸品」で、工程の主な部分が手工業であることが条件となっています。

大館曲げわっぱの歴史は古く、1100年前の土壌からも曲げわっぱが出土しています。

現在の曲げわっぱの原型になるものは、江戸時代が起源と言われています。あまり暮らしが豊かでなかった時代、武士の内職として、豊富な森林資源を活用した曲げわっぱ作りが推奨されていたことから伝統産業として発展しました。

曲げわっぱ工場を見学!

素朴でありながら優美な曲線を描く曲げわっぱ。
一体どのように作っているのでしょうか。
曲げわっぱを作っている「大館工芸社」さんで製造工程を見せていただきました!

工程は、杉材の選別から始まります。色や木目を見て、使う商品や部位を決めていきます。

これには熟練の目が必要になります。

曲げる側に使う部分、底板にする部分、それぞれに厚さ、長さ、高さを決めてカットしたり削ったりしていきます。

伝統的に杉材の赤い部分を使うため、白い部分は切り落とします。

底板になる部分をはぎ合わせます。木目がまっすぐになるように調整しながら、数枚の板を合わせて繋げます。

底板をはぎ合わせることで強度が保てるのだそうです。曲げわっぱ製品のさまざまな形に合わせて、底板を多様な形に加工します。

次はいよいよ、曲げる作業です。

熱湯に入れて煮込んで柔らかくした杉材を、円形の型を使って曲げ癖をつけてから、一気に円形にします。

 

冷めると曲がらずにパキッと折れてしまうため、湯気の立つ熱々のうちに手早く作業しなければなりません。

同じ杉でも木によって硬いものも柔らかいものもあるので、瞬時に木の性質を感じ取り、力の入れ方を調整しています。

曲げたら、端を止めて乾かします。小判型の場合は、型に合わせて曲げたあと、型を外さずに置いておきます。

曲げわっぱのアクセントは「山桜の皮」

端を接着したら、山桜の皮を削ったもので繋ぎます。

山桜の皮は、薄く削ると赤みがかった独特の色合いとツヤが出るのが特徴で、角館の「樺細工(かばざいく)」が有名です。

美しいだけでなくしなやかで丈夫なため、曲げわっぱをつなぐ縫い目として昔から使われてきました。まさに先人の知恵です。

普通なら「裏側」として隠す部分が、山桜の皮を使うことで一躍「表側」となりました。

曲げわっぱ製品を展示するときには、縫い目を見せて置くのが正しいレイアウトなのです。製品によって異なる縫い目の形を楽しむのもいいですね。

研磨、面取り、製品によって塗装、そして最終検品…。たくさんの工程を経て製品として完成します。

製品を作っている職人さんたちの手作業の精密さと表情の真剣さ、そして曲げわっぱ製品への愛情が印象深い職場でした。

伝統産業を未来に残していくために・・・

大館曲げわっぱ協同組合・理事長であり、大館工芸社の社長でもある三ツ倉 和雄(みつくら かずお)さんと、伝統工芸士として「曲げわっぱ体験工房」で指導をしている佐々木 悌治(ささき ていじ)さんにお話をうかがいました。

左:佐々木悌治さん。右:三ツ倉和雄さん。

編集部:佐々木さんが体験工房で教えるようになったきっかけを教えてください。

佐々木さん:私は、30歳から66歳までの36年間、大館工芸社で曲げわっぱ職人として働きました。その後しばらく、市民講座で曲げわっぱ作りの指導をしたり、大館市内の小学生を対象に講座を開いたりしていました。平成21年に大館市観光課が「曲げわっぱ体験工房」を開設する時、講師を頼まれたのがきっかけで体験工房で教えるようになりました。大館市内の小学校に出前講座もしています。毎日、体験用のキットを作るのに大忙しです。

編集部:曲げわっぱ作りはとても難しそうですが、小学校の出前講座ではどのようなものを作っていますか?

佐々木さん:小学生向けの講座は平成14年ごろから始め、当時はパン皿を作っていました。でも、せっかくなら毎日の給食の時に曲げわっぱの器でご飯が食べられたらいいなと考え、4年前から飯器(はんき)作りの体験に変えました。マイ飯器を使って給食を食べ、使用後に自分で洗って持ち帰ります。子供の頃から毎日使うことで、より身近に感じてほしいと思っています。

編集部:今後、曲げわっぱ作りを伝統産業として続けていく上で、課題となっているのはどんなことですか?

三ツ倉さん:材料になる木が少ないことです。住宅用の木材は樹齢50〜70年のものを使いますが、若い木は木目が大きくしなやかさが足りないため、曲げわっぱに使えるのは樹齢100年を越えたものでないと無理なんです。住宅用に若い杉の木がどんどん伐採されるため、今では100年以上の杉の木はわずかしか残っていません。

編集部:曲げわっぱの材料を確保するために、大館市と三ツ倉さんが協力して進めている取り組みについて教えてください。

三ツ倉さん:大館市農林課の協力をいただいて、市有林の中に曲げわっぱ専用の秋田杉の植林地を1.14ヘクタール確保しました。今年6月、大館市内の小学生と一緒に秋田杉のコンテナ苗を3000本植樹します。7回の間伐を行い、150年後には120本の秋田杉が残る予定です。その杉を使って曲げわっぱを作るのは未来の職人さんなので、残念ながら私はそれを見ることはできませんが(笑)、植林した子供たちが将来一人でも二人でも大館に戻ってきて、そのお孫さんやひ孫さんが伝統工芸士として曲げわっぱ作りを受け継いでくれたらいいなぁと考えています。

編集部:とても壮大な計画ですね!  ありがとうございました。

全国各地の伝統的工芸品の中には、受け継いでいく人材が少ないという課題を抱えているところもあります。

大館市内には現在、会社と個人合わせて約10軒の曲げわっぱ工房があります。今の伝統工芸士がいなくなったら製造終了する工房もありますが、大館工芸社には、小学生の時の曲げわっぱ作り体験がきっかけで入社した若い職人さんもいます。伝統の技術を若手に受け継いでいく仕組みづくりができつつあります。

2018年春。

150年後へと続く曲げわっぱの大きな夢が動き始めました。

工房では今日もたくさんの曲げわっぱ製品が生み出されています。

大館市内では、いとくショッピングセンターで曲げわっぱ製品を購入できるほか、大館工芸社、栗久(くりきゅう)、柴田慶信(しばたよしのぶ)商店のホームページでは通販も行なっています。

次回は、「大館曲げわっぱの魅力に迫る!  見た目と美味しさを兼ね備えたお弁当箱」として、曲げわっぱの使い方や機能性、曲げわっぱお弁当女子の一週間のお弁当をご紹介します。お楽しみに♪

株式会社 大館工芸社

【住所】秋田県大館市釈迦内字家後29-15
【TEL】0186-48-7700
【HP】http://www.magewappa.co.jp/index.html

有限会社 栗久

【住所】秋田県大館市中町38
【TEL】0186-42-0514
【HP】http://www.kurikyu.jp

有限会社 柴田慶信商店

【住所】秋田県大館市御成町2-15-28
【TEL】0186-42-6123
【HP】http://magewappa.com

いとく大館ショッピングセンター

【住所】秋田県大館市御成町3-7-58
【TEL】0186-49-1717

この記事を書いたライター

島田真紀子

有限会社 無明舎出版勤務を経て、フリーライターとして、フリーペーパーやWEBなどの記事を執筆。秋田県大館市在住。秋田県北を中心に、秋田の観光・食・子育て・話題のスポットなどについて発信しています。
mama plan(ママプラン)所属
http://mamaplan.rdy.jp/mamaplanwriter/

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