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美味しい♪栄養の宝庫♪「大館とんぶり」の魅力に迫る!

2019-04-02

毎年、冬になるとスーパーの野菜売り場に並ぶ生とんぶり
実は国内で生産されるとんぶりのほぼ100%が、大館産だということをご存知ですか?

とんぶりはホウキギの実を加工したもの。プリプリ、プチプチした食感がキャビアに似ていることから「畑のキャビア」とも呼ばれています。
ホウキギはその名のとおり、昔は箒(ほうき)を作るのに使われていました。細い茎が枝分かれした先に、小さな実がたくさんつきます。

強い風が吹くとポロポロと実が落ちてしまうため、あまり風のない場所でしか育てることができません。さらに、加工するときにたくさん水を使うので、水道が普及していない時代には湧き水に恵まれた土地でしかとんぶりを作ることができませんでした。

そのような、とんぶりを栽培・加工するのにぴったりの気候風土だったのが、大館市の山あいに位置する比内地区です。

農林水産省では、その土地の気候風土特有の農林水産物や、伝統技術を生かした加工食品産地ブランドとして登録する「地理的表示(GI)保護制度」を設けています。
大館市比内地区の特産物であるとんぶりは、2017年に「大館とんぶり」としてGI登録されました。
市場には中国産のとんぶりも流通していますが、「大館とんぶり」として売られているものは紛れもなく国産のとんぶりです。

今回は、三代目とんぶり農家で、農業法人を立ち上げた羽賀一雄(はが いちお)さんに「大館とんぶり」の魅力について教えていただきました。

とんぶりを作り続けて100年

羽賀さんは、2013年に定年退職したのを機に農業生産法人「株式会社秋田ハガイチオ」を立ち上げました。

羽賀さんのお祖父さんの代から約100年間、比内地区の日詰集落で箒ととんぶりを作り続けてきた農家で、今は300アールの畑でとんぶりを生産しています。


日詰集落を流れる炭谷川

山に囲まれ豊富な湧き水に恵まれた日詰集落では、古くからとんぶり作りが盛んでした。集落の人たちにとってとんぶりはとても身近な食材で、精進料理の一品としても食べられていました。

羽賀さんが子供の頃は収穫や加工の全ての工程が手作業で行われていて、逆さにした臼(うす)の底にホウキギを叩いて実を落とし、実は加工してとんぶりに、茎は箒にして売っていたそうです。


羽賀さんの作業場で使っている手作りの箒。今は箒の需要が少ないため、茎は土に返しています(有機栽培)。

栽培戸数が多かった当時は、手作業のため1戸当たりのとんぶりの生産量は少なかったそうです。

昭和54年になって日詰集落に「とんぶり加工所」が完成し、機械を使って作業をするようになってから一気に生産量が増加しました。

とんぶりができるまで

それでは、とんぶり農家の一年間をご紹介します!

<春>5月にホウキギの種を撒きます。

<夏>6月、ほ場(畑)に苗を定植します。
7月、追肥、土寄せ(雑草対策)、芯止めを行います。

<秋>9~10月ごろになるとホウキギは100〜150センチほどの高さになります。葉が色づき、実が成熟した頃が収穫の適期です。収穫した実をその日のうちに乾燥機に入れ、水分が抜けるまで乾燥を繰り返してから保存します。
10月からとんぶりの加工作業を開始し、JAあきた北に出荷します。


とんぶりの収穫


作業場の2階で乾燥させているホウキギの実

<冬>11月から1月にかけて、とんぶりの加工作業がピークを迎えます。加工は在庫が無くなるまで通年ベースで行います。

【加工作業】
1.乾燥したホウキギの実を煮る。
2.煮た実をぬるま湯につける。
3.外皮を取り除く。(伝統技術です!)
4.むいた皮をきれいに取り除く。(水洗い)
5.脱水する。
6.仕上げ作業を行い、「とんぶり」の完成!

寒い冬の時期に冷たい水でひたすらとんぶりを洗う作業は、とても大変なものです。

「大館とんぶり」の栄養成分

とんぶりは、βカロテンやビタミンKなどのビタミン類、葉酸、食物繊維、ミネラル(カリウム、鉄、マグネシウム、リン)などがたっぷりと含まれた栄養の宝庫。
スーパーフードとしておなじみのキヌアと同じアカザ科植物の仲間で、生活習慣病の予防などに良いといわれています。

ホウキギの実を乾燥したものは古来から生薬として使われており、古代中国の薬学専門書『神農本草経』にも「地膚子(じふし)」として載っています。
今でも地膚子は漢方薬として使われています。

とんぶりの栄養成分(ゆでたもの)100グラム中に含まれる栄養成分
出典:文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)より

自然食品であるとんぶりは、精進料理の一品としても全国から需要があります。
ヘルシーで食感が良くどんな食べ物にも合わせやすく、特に納豆や長芋、山の芋などネバネバ食材との相性はバツグン!


とんぶり、山の芋、卵黄(比内地鶏の卵)、オクラ、大葉を乗せた「比内ちから丼」(レシピ&写真提供:羽賀一雄さん)

「大館とんぶり」生産の今後の課題

全国のみならず海外からも需要があり、国内生産のほとんどが大館産であるとんぶり。
大館ブランドとしての地位を確立しましたが、現在、生産者不足という深刻な状況を抱えています。
最盛期の1990年には138戸だった生産農家が、2018年には10戸まで減少してしまいました。
生産者の高齢化と後継者不足、気候変動により収穫量が大きく影響を受けること、加工作業の負担が大きいことなど、生産者減少の背景にはたくさんの課題があります。

せっかくGI登録され、産地ブランドとして認められた「大館とんぶり」なので、全国の方に食べてもらいたい・・・
もっと販路を拡大し、高品質を維持しつつ生産量を増やしたい・・・
生産者の所得を増やしたい・・・

そのような思いで、JAあきた北大館とんぶり生産組合の皆さんは、課題解決に向けた方策を検討しています。

国際的な衛生管理基準であるHACCP(ハサップ)の義務化に向けて、JAあきた北では今、とんぶり加工施設を基準に対応させていく準備を始めました。

さらに、ホウキギ栽培ととんぶりの加工作業を生産者とJAで分担することで、生産者の負担を軽減しつつ栽培面積を拡大していく取り組みや、新規生産者の確保についても協議しています。

集落の人たちが古くから誇りを持って作り続けてきたとんぶり。
時代の流れで生産は難しくなってきましたが、一方で需要は拡大しています。
今の時代に合わせた生産方法を見つけて、産地ブランドである「大館とんぶり」を守り未来へつなげていくため、JAと生産組合のたゆまぬ努力が続きます。

取材協力

あきた北農業協同組合
〒017-0864 秋田県大館市根下戸新町7-22
TEL:0186-42-8112

株式会社 秋田ハガイチオ
〒018-5721
秋田県大館市比内町独鈷字日詰村上48-2
TEL/FAX :0186-56-2511

この記事を書いたライター

島田真紀子

有限会社 無明舎出版勤務を経て、フリーライターとして、フリーペーパーやWEBなどの記事を執筆。秋田県大館市在住。秋田県北を中心に、秋田の観光・食・子育て・話題のスポットなどについて発信しています。
mama plan(ママプラン)所属
http://mamaplan.rdy.jp/mamaplanwriter/

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