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WEB上展覧会『アートで見る性差別社会』ジェンダー学から感じたことを

2021-09-22

展覧会『アートで見る性差別社会』が2021年8月15日(日)~8月18日(水)にアトリオン3階展示室C(秋田市)で開催されました。

作者・主催者は、国際教養大学4年生の大城 舞未加(おおしろ まみか)さん。大城さんは「大学生の私から大切な妹と弟へ伝えたい。ジェンダー(社会的性差)学を勉強して見つけた、自分や誰かを大切にするためのヒント」をサブタイトルに開催。訪れた方に多くの反響をいただいたと言います。LIFE読者の皆さんと一緒に性差別社会を考えられたらと、今回WEB上でもご紹介する運びとなりました。

はじめに 大城さんからのメッセージ

大切な二人へ
私がジェンダー学を勉強しているとき、頭の中にはいつも二人のことがありました。

絵を描くのが上手な弟は、「男ならスポーツ頑張れよ」なんて言われて自信を無くしてないかなぁ。バリバリ仕事ができる妹は、年を重ねるにつれて「結婚しないの?」なんて聞かれてその度心が重くならないかなぁ。そんな風に、二人が誰かや社会にとっての「こうあるべき」に苦しめられるのを想像しては、「このままじゃいけない」と強く思います。

二人にも、「元気にしてるかなぁ」と思い浮かべる人がいますか?身勝手な性犯罪に巻き込まれてほしくないと願う相手がいるなら、いま自分たちが生きている社会がどんなものなのか、ちゃんと見ようとしなければいけません。大切にしたいと思う相手がいるなら、自分と相手の間にどんな違いや差があるのか知ろうとしなければいけません。

性差別って、私たちが思ってるよりずっと自然な顔をして日常に溶け込んでいて、よく目を凝らして見ないと気付けないものばかりです。だから今日は少し立ち止まって、私が身に付けた差別や格差がより鮮明に見えるジェンダーレンズをかけて、日常を見てみてください。

「これも社会からの圧力だったんだ」「あれも性差別社会が原因だったんだ」と気付くことで楽になれることが、きっといくつもあるはずだよ。そして自分自身もその圧力の一部になってしまってる時があることに気付いて、誰かを大切にできる人になってほしいと願っています。
 

早速、作品と作品に込められたメッセージをご覧ください。


プレゼント
これは男の子用、これは女の子用。いろんな人に愛されているからこそ、小さい頃からたくさんの善意をもらいます。その小さな善意の積み重ねが「女の子/男の子はこうあるべき」を膨らませて大切な人を縛り付けてしまうことになるなんて、きっと誰にとっても不本意で悲しいこと。誰もが好きなものを好きなように好きでいられる社会だったらいいな。
 


おもてなし
みんなが酔っ払うとき、泣いてる赤ちゃんを看るためにお酒を我慢するのはお母さん。料理を取り分けるのも、お母さん。私も一人の女性として、いつか誰かと結婚したら「家事を頑張るお母さん」になるのが普通なのかな。膨大な量の家事をこなすために、今必死に掴もうとしている仕事や将来も諦めることになるのかな。子どもの頃家庭や身の回りで見ていた光景が、知らないうちに大きなプレッシャーとなっていることは少なくありません。
 


女々しい?
辛いとき、女性より男性の方が弱みを見せづらいかもしれません。「強い男」でいつづけるプレッシャーから解放されるためには、女性も強くなれる社会になる必要があります。女性がもっと働きやすくてキャリアを築きやすい社会なら、男性は高学歴・高収入を期待され続けなくて済む。そして同時に、強さを求めない人も弱いままで安全に・満足に生活できる社会なら、強さにこだわるのをやめるのも、怖くなくなる。
 


女たるもの
毛がある方がいいのか、ない方がいいのか。肌は白い方がいいのか、そうじゃないのか。そういう疑問は全部自分に聞いて自分で答えればいいことだと知って、少し楽になりました。誰かのために誰かの基準の「外見の良さ」に当てはまろうと、SNSで流れてくる広告や異性へのアンケート結果に選択を委ねなくていいんです。自分自身が心地良い身体ならそれでいいんです。私の身体は、私のためのもの。
 


慣れっこ
知らない人から舐めるように身体を見られて気持ち悪い思いをしたり、階段で後ろからスカートの中を盗撮されていないか不安になって何回も後ろを振り返ったり、すでに男性の何倍も怖い思いをして危機感を持って生活しているというのに、それでもなお「加害者をなくす」ことより先に「被害に遭わないよう工夫する」ことを求められてしまう。女性だというだけで安心して暮らすこともままならないのは、もうたくさんだ。
 


目線
ジェンダー平等は、男性が女性のように・女性が男性のように振る舞うことではなく、弱者が弱者のままで尊重されることを目指しています。「女だから」「男だから」という理由でどちらかが相手を見下すわけでも、どちらかが相手を常に上目遣いで見上げるわけでもなく、目線を合わせる努力ができたらいいな。
 


バランス
どちらが手を引いているように見えますか?より強く手を握っているのはどちらに見えますか?
対等って、同じになろうとすることではありません。女性として/男性として生まれてから数十年間、それぞれの性別特有の苦しみを受けてきたから、感じること・見ているものが違って当たり前なのです。家族や友人との関係でも恋人とのお付き合いでも、自分と相手がどんな風に違うのか言葉にして伝え合い続けることをどうか忘れないでください。
 

さいごに 
展覧会会場には「みんなのレンズ」というコーナーがありました。
コーナーの横には「全ての作品を観終えたらここに戻って来て、あなたなりの答えを書き加えて『みんなのレンズ』の一部としてください。自分だけの経験を元にした自分だけの価値観で社会を見続けるのは、レンズの正しいかけ方とは言えません。自分のレンズの解像度を上げるためには、他の人の感情や考えを知ろうとすることも必要です。
あなたが展示を観て思い浮かべた大切な人は誰ですか?その人に何を伝えたいと思いましたか?または、あなたとその大切な人との間にどんな違いや差が見えたでしょうか?私が『弟と妹が性差別に傷つけられることがないといいな』と願っているように、今日あなたが感じた大切な人への願いや想いを教えてください。」というメッセージが添えられていました。
付箋には多くの方が「大切な人」を思い浮かべて書いた感想や考え方が貼られていきました。

一部ですがご紹介します。

皆さんはどんな感想をお持ちでしたか。性差別社会への捉え方や考え方は人それぞれですので、何か一つでも考えるきっかけになれば嬉しいです。

作者・主催者 大城 舞未加(おおしろ まみか)さん
国際教養大学4年生
ブログ「誰かに話したいけど話せない、言葉の保管場所」
https://mamikan-19.hatenablog.com/
Instagram:@mamikan_19
Facebook:Mamika Oshiro

この記事を書いたライター

ライフ編集部

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